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「ほんと。平気だって。そんなの……慣れてる、から」  カエデは一瞬だけ目を逸らしながら、煙草の灰を落とした。 「で? いつからの付き合い?」  質問を断ち切るタイミングを失ってしまった。仕方なく、過去を思い返す。 「いつからっていうんは、いつから知ってるかってことですか?」 「大体のトコ」 「知ってるんは、高校入ってからですけど…」  フィルターギリギリまで灰になった煙草を灰皿に押し付けながら、カエデは胡座を組み直す。 「付き合ってんのは?」 「さあ」 「さあって」  彼は吹き出すが、将也は至って真面目に答えたのだ。本当に良くわからないのだから。  そこそこ目立つ慶次の存在を知ったのは、高校入学すぐ。友人になったのは、2年生ぐらいだっただろうか。「好き」という言葉を初めて聞いたのは、確か卒業式だった。  しかし、別段それで付き合い始めた覚えはない。  それからはお互い大学が別れたこともあって離れ離れで住んでいたのだが、連絡だけは彼の方から取って来ていた。将也の方も、慶次のことが気に掛からなかった訳ではない。ただ単に、自分から連絡を取るという行為が苦手なだけだ。
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