67 此れからもずっと

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67 此れからもずっと

「 俺と…… 」 此れは、私が生まれて初めて聞く言葉じゃないのかな!?とちょっと期待してじっと見ていれば、彼はゆっくりと告げた。 「 此れからも、恋人でいてほしい 」 「 ……ん? 」 あれ……? 恋人でいて欲しいって…ってどういうこと?と疑問そうにすれば、彼は重ねた手を軽く握る。 「 御前は此れから、TVに出て色んな人から注目されるだろう。きっと恋人は居ないと言うかもしれない。でも…家の中だけでもいい。こうして誰もいない所だけでも…俺の恋人で有り続けて欲しいんだ 」 「( 嗚呼……。カズさん、不安なんだ )」 今日、彼がずっと人目を気にしていたり… 然りげ無く桜を撮りに来たニュースのカメラマン等から避けてるのは気付いていた。 そんな事…なんて言ったら傷つくだろうし、 私がまだ好きとか分からないから… 彼には待たせてばかりで、困らせてるのも自覚してる。 なるほど、と思ってゆっくり椅子から下りて両膝を曲げて目線を少し合わせる。 「 もちろんだよ。私の恋人は、これからも…この先もずっとカズさんだけだよ。だって、貴方を好きになる努力してるのに…。今更別れたら…意味ないからね 」 「 宙空 」 「 私ね、そういう真面目なカズさんが大好きだよ! 」 最初の印象は顔は怖くて、口悪くて、一言多い、無愛想な人だと思っていた。 でも、直ぐに笑みが触れたり一緒に居て触れ合ってる内に、優しくて思いやりがあって凄く優しげに微笑んでくれる人なんだなって知ると、もっといっぱい知りたくなった。 「 っ、ありがとうな……。俺は…叔父なのに… 」 「 そんなの全然気にしてないよ?先に姪っ子だと知ってても、恋人になろうって言ってくれたカズさんの気持ちは凄く嬉しかったから 」 左手で、自らの目元に手を置き涙を流した彼に、そんなに嬉しいのかな?と思うけど空いてる手で頭を撫でる。 「 カズさんが私を助けてくれた。カズさんがTVに出るきっかけをくれた。私に新しい人生を教えてくれた…だから、私はずっと貴方の傍にいたい 」 「 あぁ……居てくれ…ずっと…この先も、俺と一緒に過ごして欲しい… 」 「 うん、約束する。……泣かないでよ、私まで泣きそう 」 ほんの僅か三週間も絶たない前。 私は、ここより少し低いけど飛び降り自殺をしようとしていた。 人生が失敗して、なにもかも嫌になった時に現れたのがカズさんだった。 ゙ 家賃を払って死ね ゙ そう言ってたのに、払う必要はないとか言い始めたり、全ての生活費は負担するとか…。 最初に告げた言葉と、どんどん言動が変わっていくことには驚いたけど…。 それも全部、兄の子であり…姪っ子に対する想いと只一人の女性として見てくれてるんだなって知ってからは、一緒にいたくて仕方ない。 「 すまない……嬉しくてな…。御前が、どこかに行ってしまいそうで不安だったから…嬉しいんだ… 」 「 どこにも行かない。私はカズさんの恋人だからね 」 「 あぁ…… 」 本当は凄く弱くて、泣き虫なんだね。 でもそれを隠して格好よくあり続けようとしてくれたのが嬉しかったから、頭に当てた手を頬に当て、そっと顔を持ち上げる。 男泣きしてる彼と視線が合えば、出来るだけ優し気に笑って話す。 「 私ね、誘拐されてる時にカズさんとの関係を知って…一番最初に気になったことあるんだよ。それってなんだか、分かる? 」 「 ……なんだ? 」 「 それはね…… 」 好きってことが良く分からないのに、私はあの時…一番最初に気になったことがあった。 疑問そうにこっちを見つめる彼に、少し照れてから頬に当てていた手を自らのお腹に当てる。 「 カズさんとの赤ちゃん…近親相姦にならないのかなって 」 「 !! 」 「 でも、ならないって知って凄く嬉しいって気持ちと…安心したって思ったんだ。だって…いつか大好きになったら、その人の子供…欲しいって思うから 」 「 宙空… 」 「 その時は、私と子作りしたり…。生まれたら…子育て手伝ってくれる? 」 ちょっと傾げて言えば、彼は涙を手の甲で拭いてから、髪を撫でて顔を寄せてきた。 コツンと軽く当たったお互いの額に、彼は凄く嬉しそうに口角を上げる。 「 勿論…。その時は、ちゃんと手を貸す。俺の子なんだ…俺も育てたい 」 「 うん、約束だよ 」 「 嗚呼、約束だ 」 私はきっと、彼を好きになるのにそう時間は掛からないと思った。 元々嘘が苦手で、隠し事なんてもっと下手。 口先だけのデマかしなんて、きっと無理だから… そう長くはTVにいないだろうね。 でも、私がTVに出て事で桐ヶ谷(きりがや)家の人達や雅楽代(うたしろ)家の人達に幸せだよって伝えられたらいいな。 「 あ、動き始めたようだな… 」 「 カズさん 」 「 ん?っ…… 」 ゆっくり動き始めた観覧車。 彼が視線を外す前に、ネクタイを引いて口付けを交せば、少し驚いた彼も直ぐに唇を重ねた。 ゆっくりと離れれば、お互いに照れたように笑う。 「( ねぇ、知ってる。貴方の傍にいたら…私はよく笑っていられるんだろう )」 「( なぁ、知ってるだろうか。俺がこんなに笑うのは……御前の前だけだと )」 私達に世間体は関係無い。 だってこの気持ちは、隠しようが無いからね! 「 さて、夜桜見て帰ろうか 」 「 うん!! 」 終わりなき人生に優しいキスを 〜 完結 〜 一旦ここで完結してますが、 これ以降ば オマケ ゙感覚でお楽しみください。
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