中学生のコウメ

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中学生のコウメ

 神志名コウメ、十五歳。三つ上の兄がいる。高校三年の兄は巨体を活かした柔道一直線。  コウメは小さい頃から兄が大好きだった。兄の勇ましい姿を見続けてきたコウメは、武道を極める兄に倣い、中三になって一念発起する。それは自らの戒めのため、未来の自分のために、ルールを設けてダイエットを実践することだった。 【食事は規則正しく一日三回。一食あたり米は丼二杯まで。間食は大好きなポテチ、一日一袋まで。アイスは一日二個まで。夜食はピザならLサイズ一枚まで。  食べる時はしっかり食べ、ダラダラ食いをしない。決めたことは必ず守るーー】  まずは食事無限ループの自分に制限を設けるところから始めた。ストレスを作らないその規則正しい生活は、コウメに適度なブレーキをかけた。  学校帰り、気がつけばペンギンのようにヨチヨチ走り、わざと遠回りして歩数を稼いだりもした。そんな一生懸命な自分に満足し、ダイエットは順調と思われた。  が、風呂上がりにみる体重計は、決まったように同じ数値を表す。  
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