中学生のコウメ

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「あのぉ。それでしたら他に行き先を手配してくれませんかね」 「行き先?」 「はい。引っ越し先です」  二人は話し合いの末、腹の虫に引っ越し先を探してやることで合意した。しかし五百もの虫を一辺に移動させるのは難しい。なので長期的ではあるが、ターゲットを複数見つけ、五百のうち四百五十匹を少しずつ引っ越しさせることで商談成立した。体調管理という理由から、人の体内には五十匹ほど残さなければならない。  引っ越しのやり方は簡単。腹の虫をターゲットの弁当か何かに入れて、食べさせればいい。ただそれだけだ。  引っ越しが始まると、コウメの食欲も以前ほど湧かなくなった。それが功を奏して、体重はうまい具合に減っていく。  結局コウメは高校入学までに三十キロ近くの減量を果たし、五十二キロになった。中学のうちにチビチビと腹の虫を引っ越しさせた数、三百二十。残り百三十匹。  引っ越しの続きは高校へと延長する。そして高校一年最初のターゲットだったのが溝口マチエ。恨みの百匹大量投入。一気に太らせる作戦だった。
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