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「お、お前よぉ。こういうのを学校に持ってきちゃダメじゃんか。俺だからいいけど、他の先生に見つかったら取り上げられっぞ」
福原はそう言って、ミーアキャットみたいに背筋を伸ばし周囲の視線を警戒した。
「だからそ〜っと渡しにきたんでしょ。今食べて」
半透明な袋に市松模様のクッキーが二枚。ホントは手作りじゃないけれど、自分でラッピングすると手作り風にみえるから不思議だ。
「ふぅん。神志名って女子力あんだ?」
信じらんねぇって顔をしてとりあえずクッキーをポケットにしまう。
「あとで食べる」
福原はまんざらでもない表情で受け取り、愛妻弁当に箸を進めた。
コウメは職員室を出るまで何度も振り返った。クッキーを口にいれるところを見届けたかった。けれどなかなか弁当が終わらない。おかずをひと口食べては箸が止まり、またひと口食べてはニヤニヤして携帯をいじる。コウメはニヤついたその表情が気持ち悪くて、逆に見入ってしまいそうになる。
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