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「やだ。マチエどうしたの?」
「さっき食べたばっかじゃん」
「うん……何か知らないけど、お腹がすごく空いちゃって」
「珍しいよね、マチエがお腹空かせるなんて」
「やっぱ、あれじゃ少ないんじゃない?」
「でも弁当の量なんかいつもと一緒じゃんね。それにさっきうちら、コウメから貰ったお菓子まで食べたんだよ? なのにお腹鳴るぅ?」
「そ……うなんだけど……。何でだろ。お腹が鳴るほど空腹じゃないはずなのに」
「さっきの腹、マチエなの? ウクククッ」
「羽柴くん、酷い。そこは黙っててあげなよ」
「いや、俺は可愛いと思うよ。マチエのそういうところ、優等生のくせにドジなところ。俺は好きだけどな」
「え? あ……なに? そういうことぉ?」
羽柴から小さなラブが出現した。しかしマチエはお腹が空いて気持ち悪くなりそうで、それどころじゃない。百匹の虫が腹の中で呼んでいる。
ーーぐぅ〜う。
「あっ。そ、そうだ。私さぁ、あのさぁー、今日掃除終わったら先帰るね。(ぐう〜)ちょっと急ぎの用事思い出しちゃった、ごめんね」
忙しなく言うマチエの様子がどこか変だ。〝お腹こわしたのかなぁ〟と、友達同士顔を見合わせる。
時計の針は16時を差した。
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