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一週間後
「さわちん、おはよう」
「マチエ、おは……。え、どうした?」
代わり映えのない教室。窓際で髪型を気にする女子、ゲームの話で盛り上がる男子、いつもと同じ朝を迎えたはずのこの教室が、マチエの登場とともにシーンと静まる。
「どうしたの? みんな」
「マチエ、何か……」
「えっ、もしかしてコレ? この袋のこと? あっほら、この間コウメからお菓子貰ったから少しお裾分けしようと思って、チョコ持ってきたの。さわちんたちにも分けてあげるから」
「いや。そうじゃなくてーー」
と、さわちんが言いかけたとき、羽柴が教室に入ってきた。そしてすぐさま不穏な空気を察知し、注目されている女子の後ろ姿をみた。
「え、だれ?」
振り向いたマチエの二重顎が揺れた。
「あ、おはよう。羽柴くん。昨日は傘入れてくれてありがと。これお礼。あとで食べて」
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