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「でもね、そんなのを見た患者さんに限って、増血剤投与の指示が追加されたりしたのよ」
「ふぅん。
ビックリして、血の気が引いたって奴?
って、そんなんで本当に増血剤出すわけないわよね。
あー、バカバカしい」
湯飲みに入ったお茶の、最後の一口を飲み終えた山田さんは先に立ち上がって食べたものの片付けを始めた。
私は案外真剣に聞いていたみたいで、まだ2つめのサンドイッチが半分以上も残ったままだった。
「ま、あくまでも昔の話だけどね。
今はそんな変な噂も聞かなくなったわね」
そう言って岡崎さんも椅子から立ち上がり、飲み終えた湯飲みを片付けだした。
その時
ピンポーン
ピンポーン
深夜勤を始めて、初めてのナースコールが鳴り響いた。
私は慌ててサンドイッチを包みに戻し立ち上がろうとすると、岡崎さんは手を向けてそれを制した。
「桜庭さんはゆっくり食べてて。
コールはわたしが行ってくるから」
「…すみませんっ」
何だか変な話だったけど、こうして深夜勤の小休憩はとりあえず終わったのだ。
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