深夜の急変した患者さん

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私はスタッフ用通用口の前までたどり着くと、ドアを開けて入った。 「……っと」 その時、ちょうど入れ違いになろうとしていた人とドアの前でぶつかりかけた。 「わ、すみません…っ」 白衣をまとった男性で、どうやらドクターなのだが、さっきのドクターとは違う人だ。 背の高い彼を見上げるようにして軽く頭を下げると、どこか見覚えのあるような顔つきなのに気付いた。 色白い素顔に、対照的な真っ黒い髪。 まるで昨夜ぶつかったあの当直ドクター…のようだけど、それにしては今はメガネをかけていて、昨夜の時のような独特な妖しさは臭わない。 メガネのせいで目線がはっきり見えないからかなぁ。 何だかナヨナヨっとしてるって言うか、医者のクセに頼りなさ気な雰囲気だ。
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