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一応勝手に侵入してるわけだから照明をつけるわけにはいかない院長室は、あの時と同じ薄暗い部屋。
以前と違う事と言えば…
中に入って突き当たりのカーテンを開けると、そこには闇一色の外が映るだけの窓。
新月だと部屋の中への明かりはなく、暗さは以前よりも増していた。
「ここをまた訪ねて来たという事は、わたしとの夜が忘れられなくなったという事かな?」
窓の外に視線を向けていた私に、彼はそう言いながら背中を抱いた。
“わたしとの夜“…
身体を預けながら首筋に牙を立てられ、血を吸われる快感に身をよじってしまったあの時の事だ。
そして最後は美東先生の前で、唇を……
「き、今日はお話があって、それで来たんですっ。
そんなつもりではありません…っ」
以前と同じ事があってはいけないっ
私は逃げるように彼の腕から離れて言った。
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