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ちょっとちょっとぉ!
たとえ顔見知りでも、他人の血なんて舐めたり出来ないものなのに。
今初めて会った人の、唇についた血とか舐めれるの!?
「さぁ、立って。
今から仕事なんだろう?」
彼はフッと笑うと、私の手を引いて立たせてくれた。
「そうだ、夜勤…!」
「お疲れ様。
頑張ってね」
そう言ってニッと口角を上げると、彼は私の側を通り過ぎて廊下の先を行った。
その際、彼の羽織っていた白い服…白衣が翻った。
黒い髪に白衣、まるで妖艶な黒い天使…ううん、白い悪魔のようにも見えた。
白衣…
そうか。
この時間帯といい、あの人は当直ドクターなんだ。
まだ夜勤の経験がなかったから、ピンと来なかったな。
「…って!
早く行かなきゃ遅れちゃう!」
私は急いで荷物を持ってロッカー室にと駆けった。
でもこれが、先生と私の初対面だったのだ。
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