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アレッサとエドワードに挟まれて小恥ずかしそうに笑みを浮かばせるアイリーンの姿は、この邸宅へ居抜きで越してきて間もない頃に撮ったものだ。五年前、それはアイリーンを引き取ってニ年目となる。
ここに越してきたのは、他でもないアイリーンのためだった。
もっと広い家に住んでみたいと、ふざけ半分に言えるほど打ち解けた頃の話である。ちょうど安く売り出されていた物件を見つけたエドワードはアレッサと共に移り住むことを決め、ここで三人静かな暮らしを始めたのだ……しかし今は――
過去を桃源郷にしていつしか眠りに落ちたエドワードを、アレッサは優しく見つめるのであった。
「エドワード……きっと今日で全て終わるわ、すべて――」
その後、イーサンを見送り部屋の片付けをしたサシャと入れ替わるように、アレッサはアイリーンの寝室へ向かっていく。
夜を彷徨うように暗い階段を上り軋む廊下を静かに歩いて扉の先へ。そこには、先ほどが嘘のように眠りつくアイリーンの姿。
ライトブラウンの華奢な頭が枕の上でくるりと寝返りを打った。
アレッサは静かに歩み寄りベッドに腰を預けると、そっと顔に手を伸ばす。微笑浮かべながら。
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