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 今回の事件で、何か変わったものはあるのだろうか。マリオは助かったとはいえ、ニビョウが減ることはないし、こいぬ組も店を守り続ける。レヴィアは死んだが、レヴィアのようなやつがまた生まれないとは限らない。クルミは笑えないままだし、それにマリオの苦労は続くのだろう。こいぬ組にいるから死なないってことはない。  それはおれだって同じことだ。何も変わらなかった。今日生きているからといって、明日には家を失うかもしれないし、うっかり死んでしまうかもしれない。それは誰にもわからない。一、二。一、二。だけど、二秒の間におれらが消えても、何かを求めて、信じて、目指していくしかない。  それが、たった二秒の時間を、この世でもっとも美しい日々に変えていく。  ハイドとクルミが、仲良く機械トークを交わしてる。ユキノジョウはおでんを運びながら、癒しの笑顔を振りまく。アゲハはケツをこれ以上とないほど魅惑的に揺らし、ナックルはオウムみたいな引き笑いを響かせる。マリオは隣でおれにどうでもいい話を繰り返す。賑やかな声たち。明るい、眩しい騒ぎ。  この物語を話す気にもなるもんさ。だって、おれの胸に秘めておくには、ちょっともったいなさすぎるだろう?
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