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「おう、男の子は率直ね。先走るよくないよ、もっとじっくりするのがいいね」 「口説いてもらいたいんですか?」 「そうね、二人でじっくり、秘密の時間すごすか?」  そういいながらアゲハはスカートの裾をちらっとめくる。もはやモロに近いので、ドキドキなんてしない。からかわれていることくらいはわかるので、獣になるのはやめておいた。おれの反応が鈍いことに、アゲハはつまらなそうに裾を戻す。 「まず、概要。元は……金が盗まれたっていうのは、いつどんな状況で、どこでだったんですか?」  アゲハは胸に手を入れると、手帳を取り出した。ぱらぱらと捲って読み上げる。 「金庫の鍵はだいたいクルミさんが持っていたよ」 「金って現金なんですか? もう使うか、とんずらこかれたとかないんでしょうか」 「それはないらしいね。この街では使えない、よその国の紙幣よ。裏でも正規でも変えられるところは限られてるから、すぐわかるってクルミさんはいってたね」  ふうんとおれは相槌を入れる。 「鍵はクルミが持ってたってことは、クルミが襲われたってことですか?」 「待って。話はまだ続く。でも、たまにクルミさん他の仕事で危ないときは花火関係者に預けてたね。古くからいるメンバーで、こいぬ組との関係も厚い人よ。その人は警護もついてた、でも、警護を抜け出して、お金を奪ったよ」 「それで、最初の犯人はどこで、次の犯人に金を奪われたんですか?」 「ニビョウの住み処。地下ね。わたし説明下手よ、詳しくは犯人に聞いてね」  なるほど。そんな説明でもだいたいの話の流れはわかった。しかし、腑に落ちない点もある。 「大金をよくメンバーといえど他人に任せましたね」 「おう、何?」 「だって、大金ですよ? そんなものを他人にやらせるのがバカですよ、自業自得。くるくるくるぱーでクルミじゃないんですか?」 「だって、メンバーよ。メンバー。クルミさんはメンバーを疑うしない。わたしも疑うしないね」 「それがこのざまじゃないんですか? もっと慎重にやるべきですよ。考えなしにもほどがあります」 「他人を信じるしないは臆病者よ。信じるは勇気ね。疑うはびびりよ。クルミさんは、信頼してたね、裏切る方がおかしいね」
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