2.新宮理沙の話

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 電車に乗るとき、ほとんどの龍人は先頭車両に乗る。そこは龍人だけが乗ることのできる専用車両だから。  でも私は乗らない。龍人だけの特別車両。いるだけで、気分が悪くなる。  生まれた年が違うだけで、自分が偉いとは思えない。  学校では自分達は選ばれた者だと教わった。  でもご飯は食べるし、お風呂にも入る。  他の人と生活は何ら変わらない。  なぜ龍人だけが特別なの?  いつもそのことばかりを考えていた。 『龍人は、その魂に龍を宿しているから』  先生や親はそう答えた。  本当にそうなの?  誰も見たことないのに。  超能力や何かに秀でている訳でもない。  ただ生まれた年が、たまたま辰年だっただけのこと。  だから、私は龍人専用の車両には乗らない。こんな制度、失くしてしまえばいいのに。
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