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次の日、私たちは朝早くから電車に乗った。
「この間、石嶺さんと会って話をした」
それを彼に話したのがきっかけだった。
彼は血相を変えて、そこへ自分を連れて行くよう私に迫った。
私は拒んだ。今、彼女に会わせるのは得策ではないと判断した。むしろ、避けるべき行動だと思った。
今の彼なら、何をしでかすか分からない。場合によっては、人を傷つける行動を取るかもしれない。私は強く拒否した。
それでも、彼は聞かなかった。その主張は異常なくらいの熱意を有していた。
彼の真剣な眼差し。大きな声。必死さがびしびし伝わってきた。あまりの申し出に、私はとうとう折れてしまった。
そして私たちは今、石嶺さんのいる大学の門前に立っていた。
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