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2.主 張
「もう会うことはないと思っていたわ」
石嶺さんは淡々と言った。
事務室で石嶺さんを呼んでもらうようお願いした。高校の同級生であることを話すと、案外すんなり申し出に応じてくれた。
待つこと15分。石嶺さんはやってきた。柳田さんとかいう、この間の彼と一緒に。
私たちは大学にあるテラスに場所を移した。
橘くんはやや興奮していたものの、何とか平静を保ち、話を切り出した。
「龍戌制度が変わろうとしている」
目は虚ろだったが、言葉はしっかりしていた。
「そうね」
石嶺さんは、相変わらず淡々と言った。
「お前たちのせいだ」
橘くんは石嶺さんを睨んだ。
「私たちのせい?」
石嶺さんは眉一つ変えることなく、そう言った。
石嶺さんの鋭い眼は橘くんを捕えていた。
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