2.主 張

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「馬鹿げたことを言うな!龍人は絶対だ!」  突然、橘くんが怒声を張り上げた。 「この世で龍人ほど尊く、優れた人種はいない!  現に、この国を動かしているのは龍人たちじゃないか!  お前たちがやってるのは、この国に対する冒涜だ!  それが分からんのか!」  橘くんは息を切らせながら、席から立ち上がって石嶺さんに迫っていた。周りの学生たちが、皆こちらを見ている。 「とにかく、今すぐこの暴動を止めなければいけない。  金輪際、デモを中止させるんだ。  小池の右腕として働いていた君ならできるだろう?」  橘くんはそれだけ言うと、再び椅子に腰を下ろした。息はまだ弾んでいた。 「私1人が動いたくらいで、全ての行動を制御できると思う?  今、日本中に渦巻いている、このうねりを止められると思う?」  石嶺さんは臆することなく、少し笑いながら言った。
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