2.主 張

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「小池くんは命を張ったの。  命を張って、この運動を起こしたの。  下級の龍人の命一つが、日本中にいる反龍戌制度の心に火をつけた。  こんなこと、誰にだってできることじゃない。小池くんだからできたの。  彼は今まで、龍戌制度という檻の中に入れられ、そこで散々な仕打ちを受けてきた。  あなたたち上級の龍人たちから。  心底、嫌気が差したと思う。  生きる希望を次々と潰されたんだと思う。  でも彼は諦めなかった。  いつしか、この制度を撤廃したい。  そう思うようになった。  それで行動を起こしたの。  この大学に来てから」  石嶺さんは、いつになく饒舌だった。
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