2.主 張

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「まだ分からないの?」  石嶺さんが一呼吸おいて、言った。 「私も龍人としてこの世に生まれ、その制度の元で生活をしてきた。  特別な学校に行けたし、周りからもちやほやされた。  でも、それが何だっていうの?  誰も、本当の私を見てくれなかった。  龍人としての私を見ていただけ。  それだけで、私という人間が判断された。  私を見てほしかった。  親にも、友人にも。  そして気づいた。こんな生きづらい世の中なんてない方がいい。  もっと自分が自分らしく、正々堂々と生きれる社会。  誰にも遠慮することなく、自分の考えを主張できる世界。  それが、正常な社会ってことに」  石嶺さんはやや興奮気味に話した。今まで見たことのない石嶺さんが、そこにいた。
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