2.主 張

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「もういい」  橘くんはそう言い放つと、席を立った。 「どれだけ話したって、平行線だ。埒があかない」  石嶺さんたちに背を向け、出口に向かって歩き始めた。  私も慌てて、彼の後を追った。  石嶺さんと柳田さんは、座ったままそれを見送っていた。 「最後に1つ」  橘くんが振り返った。 「龍戌制度は、無くさない」  それだけ言い残し、私たちはテラスを後にした。  橘くんは怖い顔をしていた。今まで、こんなに苛立った橘くんは見たことがなかった。  それだけ、龍戌制度に対する思い入れが強かったんだろう。  それは知ってる。トップを取るために、今まで頑張って来たんだから。それは隣にいた私が1番よく知っている。  私たちは足早に大学を出た。  そしていつもと変わらない町を横切り、駅へと向かった。
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