3.救 い

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3.救 い

 次の日から、橘くんは学校に来なくなった。 「大丈夫。心配するな」  電話口では、いつもそう言った。  電話に出てくれるだけ、まだ安心できた。  どうやら、親戚や知り合いの家を廻っているらしい。  橘くんの親類には政治に関わっている人が多い。その関係者のところを廻って、龍戌制度を廃止させないよう訴えているようだった。  橘くんも、将来政界に進むことを強く望んでいた。  そして、龍人を中心とした秩序ある国にしようと、希望に胸を膨らませていた。  一大学生の意見で、そう大きなことができるとは思えない。  ただし、橘家の総力を投じれば、知り合いが知り合いを呼び、大きな力になるのかもしれない。  正直、それがこの国にとって良い事なのかは分からないけど。
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