2.新宮理沙の話

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「今日、学校に来るときにさー」  昼休み、小池が仲間と話している声が聞こえてきた。 「変な後輩が声をかけてくるから、一発ぶん殴ってやったんだよ。遊んでたのは小学生の時だぜ。もう何年経ったと思ってんのかな?」  小池は、自分の武勇伝を自慢げに語っていた。それを聞いた仲間たちはケラケラ笑った。  ふと今日の電車での一幕を思い出した。  あの人、たしか左の頬を押さえていた。 「龍人でもないのに、気安く話しかけてんじゃねーつーの」  小池は仲間たちと一緒に教室を出て行った。  ああいうのが、一番たちが悪い。龍人ってことを前面に出して、逆らえない人たちをタカる。龍人の風上にも置けない。  小池への怒りを感じながら、私は今日、電車の中で見た光景を思い出していた。  もしかすると、小池に殴られたのは、あの人かもしれない。  もしそうだったら…。  私は一抹の不安を抱えながら、机の上に両肘を付いた。そして私は、私のとるべき行動を考えた。
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