龍戌世界 -リュウジュツセカイ-

2.新宮理沙の話

「理沙ちゃん、今日は何かあんの？」

　最後のホームルームが終わり、帰宅しようとした時、またもや小池が声をかけてきた。

「今日は、このあと塾があるから」

　私はそれだけ言い残し、教室を出ようとした。でも、出られなかった。

　教室の扉の前には、小池の仲間たちが立ちはだかって、私の行く手を阻んでいた。

　今日は日直で、教室を出るのが遅くなった。私は完全に囲まれた。

「今日は、塾ないでしょ？理沙ちゃん」

　小池はニヤニヤしながら、私に近づいてきた。同時に、扉の前にいた小池の仲間たちも、私に迫って来ていた。

　小池の言う通り、今日は塾の日ではない。小池はあらかじめ、その事を知っていたのだろう。