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彼の顔を確認した小池はひとつ舌打ちした。そして何も言わず、ぞろぞろと教室から出て行った。
彼は小池から睨まれながらも、平然としていた。怒りを顕にしている小池を上から見下ろし、悠然と立っていた。
「大丈夫?」
彼は優しく声をかけてきた。
180cmを越える長身で、端正な顔立ち。
彼は……たしか橘くん。橘仁くん。
龍人の中でも、最上位の龍人。つまり両親が共に龍人。しかも、この学年で知らない人はいないくらいのイケメン男子。
「…ありがとう」
私は安堵と共に、橘くんの顔を見上げた。本当に惚れ惚れする。さっきとは違うドキドキが胸に木霊する。
「あぁいうヤツらがいるから、龍人は勘違いされるんだろうな」
橘くんは小池たちが出て行った扉の方を見ながら、呟いた。そして私を下駄箱まで送ってくれた。
「さすがにもう追ってこないとは思うけど、気をつけて」
橘くんはそう言い残し、その場から去った。
私は何度もお礼を言って、学校を後にした。
今日は何だか、とても疲れた。
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