3.小池修一の話

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 俺の父親と母親は一般人だ。俺は龍人だけど、上級龍人ほどの待遇はない。  俺は父親が、いつも龍人たちに頭を下げながら働くのを見てきた。  父と母は俺を龍人に仕立てるため、計画的に俺を産んだ。結婚の時期、そして妊娠の時期を選び、その計画通りに俺は生まれた。  息子を想ってのことだろう。龍人に媚びへつらう一般人や戌神ではなく、龍人として人生を歩んでほしい。そんな想いは言わずともわかった。  俺は小さい頃から、龍人を叩き込まれた。一般人とは違う、龍人として誇り。それ相応の立ち振舞いをするように。  子供の頃は、それが誇らしかった。俺は周りの子供とは違う。自分は龍人なんだ。そんな自尊心は、無意識のうちにできあがった。  ただ上には上がいることも知った。芽生えた自尊心と、相手を敬わなければならない立ち位置の難しさに、子供の俺は戸惑った。
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