1.僕の話

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1.僕の話

 こんな理不尽なことがあっていいのか?  僕は地面に這いつくばっていた。  左の頬を押さえて。 「気安く話しかけんじゃねぇ」  小池修一は僕を見降ろしながら、吐き捨てるように言った。 「俺とお前じゃ、住む世界が違うんだよ」  それだけ言い残すと、小池さんは振り返り、その場を去った。僕は左頬を押さえ、地面に座ったままその背中をぼんやりと眺めた。  小学生の頃は一緒に遊んだ。小学生の高学年くらいからだ。小池さんが変わり始めたのは。  彼は『龍人』だったのだ。
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