3.小池修一の話

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 何にでも苛立つようになった。  世界の全てを憎むようになった。  俺の小学校時代を知るヤツラから見れば、俺は随分と変わっただろう。ついこの間も、馴れ馴れしく声を掛けてきた後輩をぶん殴ってやった。  それくらいで清々するはずもない。俺が清々するのは、この世から俺以外の龍人がいなくなった時だ。  今も何か苛立っている。  天井を見つめながらも。  龍人たちにしてやれることはないだろうか?  そればかり考えている。  各上の龍人たちが苦しみ、もがいている姿を見るのが楽しくてたまらない。上のヤツラは下のヤツラを痛めつける。俺はこんなだから、最近はあまり相手にされなくなったが。  もっと苦しめばいい。そして弱き者の痛みを知るがいい。  そのためならば、俺は何でもやってやる。  何にでもなってやる。
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