5.僕と新宮理沙の話

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「あの…ごめんなさい」 「なんで、あなたが謝るんですか?」 「君が左頬を押さえてたあの日、通学途中、誰かに殴られたんじゃないかと思って…。  ウチのクラスの生徒が、同じ日にそんな話をしてたのを聞いたから」  彼女は戸惑いながら言った。 「殴ったのは小池くんじゃないですか?小池修一」  彼女は確信めいた声で、僕にそう言った。 「だったら、何だと言うんですか?あなたには関係ないでしょう」  確かに、殴った張本人は小池さんだ。僕はただ声を掛けただけ。龍人と一般人の差を思い知らされた。 「関係なくはありません。私、小池くんと同じクラスなんです。彼があなたを殴ったの聞いた。私はほぼ毎日、あなたと同じ電車に乗ってる。それだけで十分関係があります」  言ってる意味はよく分からないが、彼女は小池さんの代わりに謝ってくれたようだ。  龍人としての礼儀か?正義感か?  単なるおせっかいにしか見えない。
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