1.SとS

3/9
前へ
/119ページ
次へ
 勉学に励んだ僕は、学年でもトップの成績を修めていた。しかし『この国を変えたい』などという夢物語は、全く考えなかった。  反面、龍人たちに対する憎悪、復讐心は、僕の心に深く根付いていた。  いい大学に行こうが一流企業に入社しようが、龍戌制度がある限り、僕は一生、龍人や戌神の下で働くことになる。  それを思うだけで、この制度、そしてこの制度を盾にして威張り散らす龍人たちに対し、猛烈に負の感情が高ぶった。  ひとまず物を言える立場になる。  それが僕の目標だった。  そのためには、優秀な大学を卒業しておく必要がある。僕にとって大学は、肩書を手にするために一手段に過ぎなかった。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加