1.SとS

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 大学の学食で昼食を摂っている時、不意に僕の前に誰かが座った。席は他にも空いているというのに、わざわざ僕の前に座ったのだ。  嫌な予感がする時、背中に悪寒が走る。僕はその感情を胸に、見ていた参考書から目を離して顔を上げた。  小池修一は笑っていた。  彼の目に、僕はどう映ったのだろう?  小池さんは1人だった。  僕は1つため息をつき、彼と向き合った。彼は持っていたコーヒーのペットボトルをテーブルに置くと、横柄に椅子に腰かけ、黙って僕を見ていた。
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