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「久しぶりだな」
小池修一は言った。
僕は黙っていた。二度と会いたくない相手が目の前にいる。何を話すことがあるのか。
「まぁ、そう嫌な顔をしなさんな。俺は待ってたんだ。君が来るのを」
小池修一はそう言うと、ペットボトルのコーヒーを一口飲んだ。
「ここじゃなんだ。ちょっと来てくれるか?大丈夫、俺1人だ。他には誰もいない。もう変な気は起こさないから」
数年前、道端で僕をいきなり殴ったことを言っているのだろう。たしかに、その頃よりは落ち着いているようには見える。
結局僕は断りきれず、小池さんの後を付いて行った。食堂とは別の棟の2階に上がり、その左手にある部屋に入った。長机が2つ置かれた殺風景な部屋だった。
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