龍戌世界 -リュウジュツセカイ-

1.僕の話

　龍戌(リュウジュツ)制度。

　いつから始まったのかは知らない。
　生まれた時には、もう存在していた。

『辰の年に生まれし者は、龍人として敬われ、一生涯、それ相応の待遇を受けるものとする』

『戌の年に生まれし者は、戌神とし、龍人に次ぐ者と定め、一生涯、それ相応の待遇を受けるものとする』

　細かいことはよく分からないが、要は一番偉いのが辰年生まれの龍人。その次が戌年生まれの戌神で、それ以外の人たちは一般庶民ということだ。

　中でも龍人の両親から生まれた辰年の子孫は、最上級にランクされるらしい。龍人の中でも、甲乙があるのだ。

　片親が龍人の場合は中級龍人、自分だけが辰年生まれの場合は下級龍人となる。

　厄介なのは下級の龍人。小池さんはそれに当たる。