1.SとS

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 唐突な質問に驚いたが、僕は答えずに黙っていた。 「大丈夫だって。この会話は俺しか聞いてないし、無論、盗聴だってしてない。第一、俺が嫌いなんだよ。龍人」  え?あなた龍人でしょ?  一般人である僕には理解できなかった。 「実は龍人を壊滅したいと思ってる」  小池さんは少しだけ声のトーンを落として言った。 「で、もう一度聞く。お前は龍人が嫌いか?」 「……好きなわけないでしょ」  僕の声は震えていた。 「今まで、僕がどんなことされてきたか知らないでしょ?  どこに行ってもナメられて、虐げられて、いつも龍人に怯えながら生きて、何でこんな目に遭わなければいけないのか…。  ただ龍の年に生まれただけでしょ!  龍人なんて」  僕はもう、抑えられなかった。
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