3.大学生活

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「この文化祭をジャックしたい」  いつになく真剣な面持ちで、小池さんは言った。 「イベントサークルを宣伝するとともに、1つ龍戌制度に対して、白羽の矢を立てたいと思ってる」  織田さんと徳田さんの顔が真顔になった。石嶺さんも不安気に小池さんを見つめている。 「文化祭は例年通り、イベントサークル特有の活動をする。バーベキューでも花火でもいい。その傍らで、大々的に龍戌制度に対して抗議するんだ」 「そんなことしたら…」  石嶺さんの表情が更に曇った。 「大丈夫。責任は代表の俺が取る。俺一人が処分されれば済む話だ。みんなには迷惑はかけない」  小池さんは軽く言った。  でも、そんな軽い話ではないだろう。サークル内ですら、まだ龍戌制度は生きている。ましてや、他の部活やサークルには根強くその力は蔓延(はびこ)っていた。 「俺に考えがある。少しだけ、協力してほしい」  小池さんはそう言うと、小声で話し始めた。
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