3.大学生活

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 石嶺さんは違った。  あとから知ったことだが、石嶺さんも龍人だった。それも父親が戌神、母親が龍人という、上級のそれだった。  石嶺さんは、小池さんに似ていた。 「私は龍人だけど、そんなの国が勝手に決めたことで、私は私で生きていきたい。本当の私を見てほしい」  ある日の飲み会の席で、控えめにそう語っていた。 「私は賛同する。全力で協力する。何なら、私も一緒にやりたい」  いつも静かな石嶺さんが、珍しく強い眼をしていた。初めて見る表情だった。その眼から、決意の固さが窺えた。  無論、僕も賛同した。  そのために仲間になったのだ。  元々、僕ら一般人にとっては、生きていく価値のない世界なのだ。だったら、今さら失うものなど無い。やることやって、後悔なく生きた方がよっぽどマシだ。
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