1.僕の話

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 龍人たちは高校を卒業すると、大半の者は大学に通うが、そこは一般人もいるので、世界は広がる。綺麗なまでに、龍人を筆頭とした順列ができ上がる。  龍人たちが卒業した学校には、今度は戌神たちが入学する。そして自分たちが龍人を支えるために生を受けた存在であること、辰を除く他の干支とは違う立場にあることを教え込まれる。  そうして、同じように洗脳が始まる。龍人や戌神は中学・高校と特別教育を受け、エリートとして育てられる。ある者は政治家を目指し、ある者は研究者を目指す。  社会に出ても、龍戌制度は根強く残っており、今となっては、会社の重役たちのほとんどは龍人、もしくは戌神が担っていた。  最下層の僕たちは、一生龍神・戌神を敬い、立てつくことなく生きていかなければならない。  子供の頃は疑問に思うことなく自然なこととして受け止めていたが、最近は違う。  この世は間違っている。そう思い始めた。  ただ、そのことを公然と言い放つことはできないが。
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