4.文化祭

7/7
前へ
/119ページ
次へ
 昼前、僕は講堂を後にして、イベントサークルのタープへと向かった。  素早くエプロンを着て、昨日と同じ場所に立つ。客は多かったが、昨日に比べるとまだマシで、僕は少し安堵しながら肉を焼いた。  昨日の経験が活きているのか、今日は考えなくとも手が動いた。  僕は手際よく肉を焼き、次から次へと皿に盛った。盛った皿は瞬く間に取られていく。それでも僕の方が早かった。  焼肉屋でも始めてみるかな。僕は半笑いを浮かべながら、肉を焼いた。肉を焼きながら半笑いを浮かべるヤツなんて、きっと端から見れば危ない人に見えただろう。  その通りだ。この後、小池さんと行動を共にする僕は現実に危ない人になるだろう。その高揚と不安が、そんな表情を浮かべさせたのかもしれない。  みっちりと2時間、肉を焼き続け、僕の持ち時間は終了した。  少し休憩した後、僕は放送室に向かって歩き始めた。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加