5.事 変

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「次、イベントサークルの方どうぞ」  放送部員の1人が声を掛けてきた。その声を確認して、僕ら2人は放送室へ入った。 「よろしくー」  小池さんはすでに放送部員たちと、顔見知りなのだろう。互いに表情が和んでいる。 「じゃ、あとはこっちでするから。ごゆっくり」  小池さんがそう言うと、放送部員たちは部屋から出て、代わりにイベントサークルの部員が会釈しながら入ってきた。  イベントサークルのプレゼンは、サークルのメンバーで行う。他の部にはあまりない光景だが、きっと小池さんが裏で放送部に持ちかけたのだろう。  結果、放送室内にはイベントサークルの人間しかいなくなった。それを確認し、僕と小池さんは隣にある撮影室へ入った。  カメラ正面にある座席に小池さんが座り、僕はカメラを構えた。今日のために撮影に関する機器の取り扱いは、ひと通り勉強してきたつもりだ。  照明をつけ、小池さんに当たるようにセットして、マイクを確認。カメラの位置も調整し、後は録画を開始するだけ。  この後、RECのボタンを押したら、僕の任務は終わる。小池さんからはそう指示されていた。
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