5.事 変

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 放送室の前には、さっきまでなかったベルトパーテーションが置かれていた。これも小池さんの指示なのだろう。誰もいなくなっていた。 「行くぞ、柳田。ここから離れてろって、小池さんの指示だ」  サークルの先輩がそう言って、みんなそこから動き始めた。僕はたった今、出てきた扉を見返しながら、仕方なくみんなの後に続いた。  小池さんは何をする気だろう?  あの『ありがとう』の意味はなんだ?  考えれば考えるほど、不安が押し寄せてくる。  1人で全ての責任を負って、龍人たちに捕獲されるつもりだろうか?そうなったら、僕も抵抗してやる。小池さんのやってることは、僕ら一般人の代弁だ。  放送室を後にした僕たちは、いったん外のモニターへと急いだ。小池さんが何を言うのか、どういう行動をとるのか、それをいち早く確かめたかった。  屋外のモニターの手前まで辿り着き、モニターを目でとらえた瞬間だった。  後方から大きな爆発音が響き渡った。
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