6.メッセージ

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6.メッセージ

 事件の概要はこうだ。  僕たちが出ていったあと、小池さんは入り口の扉に鍵を掛けた。放送室の扉は、防音の観点から他の扉と違い、分厚く作られている。その分、鍵も頑丈で特殊な鍵穴をしていた。  映像の最初は席を立つ小池さんが映し出され、30秒後に戻ってくるシーンから始まっている。それが、彼が自ら密室に閉じこもった証拠として伝えられた。  カメラの前に戻った小池さんは、一口ペットボトルの水を飲んで、一息ついた。  イベントサークルのプレゼンは、カメラの前でテントを立てたり、火の起し方をレクチャーしたりと、斬新なアイデアで毎年好評だった。今年は何をするのか?という期待感が、モニターの前に多くの人を集めていた。  そして、彼は語り始めた。  全世界にいる龍人に対して。
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