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世界を支配する龍人、そして戌神たちよ。
よく聞いてほしい。
俺たちは遠い昔から、この国で定められた『龍戌制度』という忌々しい柵の中で、がんじがらめにされながら生きてきた。
龍人、戌神、一般人と、人間を大きく3種類に分け、一部の人間を重宝し、それ以外の人間を蔑むこの制度は、一体何のためにあるのか?
人の間に上下を創り、絶対的支配権を生むと、人はあたかも自分が偉くなったような錯覚を起こす。
偉い人間は自分よりも下級な人間を人として扱わず、自分の持ち物のように扱う。全員がそんな輩ではないが、俺は嫌と言うほどその経験をしてきた。
龍人である俺がそうなのだ。一般人なら、もっとひどい仕打ちを受けてきたと思う。
俺もそんな錯覚に支配され、自分よりも身分の下の者たちを傷つけてしまった経験がある。それを思い返したとき、結局は自分もこの呪縛の中でもがくだけの存在でしかないことを痛感した。
次第に苛立ってきたんだ。
この制度の存在自体に。
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