6.メッセージ

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 この制度の根本をしっかりと見つめてほしい。  龍人が本当に尊いのか?  戌神が本当に偉いのか?  これは大きな組織によって生み出された、一種の策略なのではないか?  元を正せば龍人は辰年、戌神は戌年に生まれただけの話。  たまたまか、計画的にかは知らないが、生まれた年だけで人の価値が決まるのか?  そんなことはないだろう。龍人たちよ。  辰年や戌年生まれ以外の人にも、素晴らしい人はたくさんいる。  自分を鼓舞せず、人のために何かできないかを模索して、行動ができる。  人を思いやり、自分を犠牲にしてでも、仲間のために命を張ることができる。  そんなヤツらがたくさんいた。  俺はこの大学でサークル活動をする間に、たくさんのそういうヤツらに出会った。  それは龍人の中にも、一般人の中にも、階級に左右されず、そういうヤツはそういう人間だった。  龍人でもいい。戌神でもいい。  一般人でもいい。  いい加減、みんな気づかなくちゃいけない。  この制度の渦中に居続ける限り、俺たちに本当の自由はない。階級に関係なく、互いを認め合う社会なんてできる訳がない。  俺はこの制度壊滅のために、ここに命を捧げる。
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