6.メッセージ

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 小池さんは死んだ。  そして、僕は生きた。  僕は死んでもよかったのに。  この世に未来も、希望もなかった。  このサークルに入るまでは。  龍人に中にも、僕のような一般人に、分け隔てなく接してくれる人もいた。龍人の中にも、いろいろな人がいることを知った。  小池さんが語った『理想郷』。  完全じゃなくても、それに近いものがここにはあった。  残された僕は、これから何をすべきなのだろう?  時とともに、きっとこの話題は埋もれてしまい、いつしか誰からも忘れ去られてしまう。  そうなる前に、何かしなければ。  命を賭して、小池さんが伝えたかったものとは、いったい何だ?  小池さんの死を、命を、これからどう繋いでいけばいいのか?  真っ暗な部屋の中、テレビだけが煌々と光を放っている。  僕は分からなかった。  ただ、心の支えを失った僕は、死ぬこともできず、生きることも(はばか)られた。  僕はどうすればいいの?  教えてくれよ。小池さん。
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