1.暴 動

3/5
前へ
/119ページ
次へ
 その日の授業を終え、私はまっすぐに家へと帰った。自分の部屋に入ると、ベッドに横たわった。小池くんのことが、頭から離れなかった。 『この制度の渦中に居続ける限り、階級に関係なく、互いを認め合う社会なんてできる訳がない』 『俺たちに自由はない』 『いい加減、みんな気づかなくちゃいけない』  彼が最後に残したメッセージが、頭の中で繰り返される。  階級に関係なく、互いが互いを認め合える世界。それはまさしく、高校の時に私が描いた理想の世界。  それを伝えたくて、小池くんは命を犠牲にした。私にはとても真似できることではない。  もう二度と会うことはないと思っていた。  私の記憶の中では、彼はふてぶてしくて生意気で、周りに敵意を持った人としか残っていなかった。  それが、全く違う形で、しかも強烈な印象とともに呼び戻された。彼の死を、とても他人事とは思えなかった。  あぁ、私はどうすればいいの?
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加