1.暴 動

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「大変なことになってるな」  大学のベンチで橘くんと昼食を食べていると、彼が話し始めた。  小池くんの死から2日が過ぎた。彼の死を受け、各地で龍戌制度に反発するデモが起こっていた。  若者中心だったデモは、日に日にその大きさを増し、年配者まで参加するようになった。  その映像を見た時、そこには龍人も戌神もいなかった。いや、実際にはいたんだろうけど、そんなものを超越した共同体の力を感じた。 「橘くん、どう思う?」  私は率直に聴いた。彼の考えを知りたかった。 「エリートは創られるべき」  彼は言った。間髪入れずに。 「彼の主張する通り、龍人の中にもいろんな人がいる。それは戌神も一般人も同じ。  優秀な人間は、階級に関係なく役を与えるべきだとは思う。しかしその中でも、中枢になる人間は創られるべきだろう。  俺や君のように」  彼は淡々と語った。
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