1.暴 動

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「俺たちだって、龍人だからと言って、ただぬるま湯に浸かってた訳じゃない。相当な努力をして、学び、自己統制しながら生きてきたはず。  愚鈍な龍人は排除すべきだろうし、優秀な戌神や一般人には、もっと大きな役割を担ってもらった方がいい。  ただし、その中枢にいるのは龍人。龍人の中でも逸材と言われる人物たちを固めておいた方が、俺はこの国にとっても有益だと思う」  彼の中では、龍戌制度は生きているようだが、現状とは違った制度を思い描いているようだった。 「そもそも龍戌制度を撤廃するのは難しいだろう。国の中枢にいる人たちは全員、龍人なんだから」  それは私も知ってる。  大臣と名のつく人たちはみんな龍人。中には上級の者、稀に中級の者もいるけど、龍人だけで創られた組織。それがこの国の本性。  だから、そんなに簡単に龍戌制度は撤廃できない。悔しいけど、それは理解できる。  でも、国民全員が動いたらどうだろう?  今、その兆しが見えている気がする。
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