2.参 戦

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2.参 戦

「さぁ、行くよ」  石嶺さんは、僕を乗せると、勢いよくアクセルを踏み込み、夕暮れの町へと車を飛ばした。 「行くって…どこへ行くんですか?」  小池さんの事件以降、僕は学校を休んでいた。何をするにも無気力だった。  そこへ、石嶺さんから一本の電話がかかってきた。 「今から会える?」  その後、車に乗せられ、今に至っている。 「どうせしょげてると思ったから、こうやって気分転換でもと思って」  石嶺さんはハンドルを握ると性格が変わる人種のようだ。いつもの穏やかな石嶺さんは微塵もいなかった。  いや、小池さんがいなくなってからというもの、インタビューに答える石嶺さんは以前と違う人に見えた。  大人しくて、引っ込み思案。それが真逆の性格になった気がした。  そんなことはお構いなしに、石嶺さんは車を飛ばした。車は国道を抜け、都市高速へと入って行った。
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