2.参 戦

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『龍戌制度、反対!』 『龍戌制度を撤廃せよ!』  そんな垂れ幕やプラカードを抱えている人もいる。みんな思いは同じのようだった。  1人で抱え込んでいた。  小池さんの死を、意志を。  それはあまりに重すぎた。そして、自分で自分を潰していた。  石嶺さんは、そこから僕を救うために、今日ここに連れてきたのかもしれない。  1人で背負うな。  今、世界には大勢の仲間たちがいる。  それを身をもって教えるために、わざわざ車で僕を迎えにきたのだろう。  動きださなきゃ。  前に進まなきゃ。僕も。  僕は前を向いた。そしてビラを配る人から、それを分けてもらい、僕も配るのを手伝った。  石嶺さんは突然走り出した僕を見て驚いていたが、僕がビラ配りを手伝うのを見ると、少し離れた位置から僕を見ていた。  たぶん、少し笑いながら。
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