3.RとH

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「昨日、町で見かけたの。デモに参加してるのかな?」  石嶺さんは変わっていた。成績が上位にも関わらず、進学したのは2流の大学。石嶺さんの成績なら、全国トップの大学は間違いないのに、敢えてそこを受験していた。  彼女と親しい人はほぼいなかったので、その真相を知る人はいない。  ただ、もし昨日のデモに石嶺さんが参加していたとなると、少し関連性が見えてきそうな気がする。  彼女は龍人。それも私と同じ上級の。人付き合いは苦手だったとしても、大学を落とす必要がある?  答えは1つ。彼女自身が龍戌制度に反対していたから。だから、ほぼ龍人で構成されているトップの大学には行きたくなかった。  これはあくまでも仮説だけど。  となると、橘くんとは価値観が合わない。  当然、私とも距離ができる。  それでも、私は思った。  会って、話が聞きたい。  彼女の思想に触れることで、何かが見えてくるかもしれない。
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