3.RとH

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 それからというもの、私は町の雰囲気に注意しながら大学へと通った。デモがある場合、いつもとは違う動きが必ずどこかにあるはずだから。  そして、そこにきっと石嶺さんも現れる。そこを直撃する。あっちは私の事なんて覚えていないだろうけど。  町の雰囲気はいつもと変わらなかった。賑わうでもなく、閑散となるわけでもなく、普段の日常が淡々と流れていた。  2週間ほど経ったある日、町がざわついているのが分かった。  いつもよりも人が多く、所々で5~6人の集団をよく見かけた。私はビルの2階にあるカフェに入って、しばらく町の様子を窺った。  時間の経過とともに、次第に人が増えていった。そして、ある時刻を境に、一斉に動き始めた。  人の流れが出来たかと思うと、それは見る見るうちにその規模を大きくし、やがてうねり始めた。ものの15分で、通りは大勢の人で埋め尽くされ、道を支配した。  間違いない。デモが始まる。  それも、かなり大規模なヤツ。
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